The Montessori method – お仕事の紹介 Vol.4 ~数教育 Mathematics Area~

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The Montessori method – お仕事の紹介 Vol.4 ~数教育 Mathematics Area~

The Montessori method – お仕事の紹介 Vol.4 ~数教育 Mathematics Area~

モンテッソーリ教育の5領域の中の「数教育」についてご紹介致します。

人間は、常に「数の概念」を意識して生活しています。数の概念とは、数の集合体や順序のことを意味します。

例えば、1年は365日、1日は24時間、1時間は60分、1分は60秒、いつも時間を考えながら、スケジュールを立てて、生活していますね。

「スケジュールを立ててない!いつも行き合たりばったり~」とか思う人もいるかもしれませんが、何時までに、何を終わらせて、何時の電車に乗って~とか、誰かと何時に待ち合わせて~など、意識してみると、いつも時間を気にして生活していることに気が付くと思います。

おそらく、地球上の生物で、数の概念を意識して生活する傾向があるのは、人間だけなのではないでしょうか?

他の動物たちは、暗くなったら夜で寝るとか、明るくなったら朝で起きるとか、夜行性の生物は逆ですね。きっと本能的な感覚で時間を感じているのだと思います。

子どもの成長の中に見られる「秩序の敏感期」は、数学的傾向のひとつです。子どもは、いつもと同じペース、ルート、順番など、秩序正しい生活を好みます。いつもと同じところにいつもと同じものがないと気に入らなくて、不安定になったり、怒ったり、イライラしたりして、不機嫌になります。

いつもと同じルートで保育園に行かなかったら、もう大泣きで、結局また家まで戻ってやり直しという話をよく聞きます。臨機応変が出来ないのが、秩序の敏感期真っ只中の2~3歳くらいですが、秩序の敏感期は、2歳くらいから6歳まであると言われております。個人差があるのですね。

秩序に対しての鋭敏さは、数学的頭脳の表れで、のちに数学的思考の土台、基礎となる感覚ですので、とても大切です。

ごきょうだいがいるご家庭では、例えば、おやつの時間、ジュースをコップに注いだ時、若干、量が違ってしまった時、子どもはジュースの量に敏感で、「こっちの方が多い!」「少ない!」などと喧嘩になってまったという経験はございませんか?

これは、「同じ」「違う」「比べる」などの数学的能力の表れで、数量を感覚的に理解していることになります。

また、数学的頭脳のひとつとして、運動の調整があります。子どもは狭いところに入ったり、トンネルなどくぐったりが大好きですね。

狭いところや低いところをくぐると頭をぶつけたり、身体をぶつけたりします。そして、1度ぶつかる経験をすると、次はぶつからないように距離間を測り、腰をもっとかがめようとします。

これは、自分と環境に置かれた物との距離を測り、運動の調整をしているのですね。数学的頭脳を使っています。

子どもは、物を集めたり、並べたりすることが好きです。大きい物から小さい物へ順番に並べたり、同じ種類の物を集めてグループにしたりなど夢中になって繰り返し行います。

環境の中の物を分類し、同じ物をまとめたり、また比較して順番に並べたりするのは、数学的な傾向のひとつです。

また、子どもは狭いところに物を入れたがります。これは、空間を把握するための実験のような感じです。

数学的な活動をすることにより、分類、系統付、組織化の練習をしています。

子どもは数に対してとても敏感で、大人が思っている以上に数学的な思考をしています。

モンテッソーリ教育の数の活動は、数教育の教具を使って、自ら物の法則性を理解できるように構成されており、子どもの数学的思考能力を高める援助をしています。

一般的な数学の教え方は、具体物がなく、数字のみで、ノートと鉛筆で教えるという感じですね。

しかし、モンテッソーリ教育の数教育は、まずは、具体物を使って、視覚的に、物の大きさや分量を見て、触って、重さを感じたりしながら、身体で感覚的に理解し、その感覚練習を繰り返し行い、数量や順序、計算などを理解し、身体で記憶していき、それから徐々に具体物を減らし、数字というシンボルに置き換え、抽象化し、頭の中で想像して考えられるようにして行きます。

日常のお仕事の中にもたくさん数学的要素が含まれております。

何をするにも順番があります。例えば、縫いさしをするのに、糸を針に付けずに、針を布に通しても、縫えませんね。糸を針に通すのが先ですね。何事も順番が違うとうまくいきません。

生活すべてに順序、秩序があります。数学的思考をしていかないと生活できません。

数教育の活動が、生活体験の中に結びつくことで、より一層、数学的思考能力が高まります。

 

数活動のプロセスには、大きく3段階のステップがあります。

1段階目は、数量の把握です。教具を使って、感覚的に数量を把握します。

2段階目は、数字(シンボル)とその名前(数字の読み方)を紹介します。

3段階目に、数量(教具)と数字(シンボル)の両方を一致させる活動を行います。

感覚的な印象付けや理解の活動を十分に経験していくことで、数の理解が深まり、面白さを発見し、数学的思考能力が高まっていきます。

数学が大好きな子ども達になっていきます。

 

「数の棒と数字カード (Number Rods with Cards)」

感覚教具に、長さの認識を行う「赤い棒」という10本の赤い棒の教具があります。

10本の赤い棒は、全て赤で塗られており、1番短い長さの棒が10㎝で、10㎝ごと漸次的に長くなり1番長い棒が1mです。

それと同じ素材、長さ、数量で、数の棒は、10㎝ごと赤と青で区切られています。

1番短い10㎝の棒は、1の棒。1の棒の長さの漸次性で、10の棒まであります。

赤、青、の部分を数えながら、数量の認識をします。

2は1が2つの集まり。3は1が3つの集まり。・・・・・10は1が10個の集まり。

感覚的に数量を認識していきます。

そして、数字のカードを使って、数字と数量を合わせ、具体物を抽象化へ結び付けていきます。

何度も繰り返し活動したら、今度は、10の棒と同じ長さを作ってみるのを楽しんでいます。

どの数の棒とどの数の棒をくっつけると、1番長い10の棒と同じ長さになるのかな?

とても楽しい活動です。自然とたし算をやってますね。

最後、5の棒は、5の棒がもうひとつないとできないことに気が付きます。

5は、10の半分ということを感覚的に知ります。5の棒と同じ長さの赤い棒を持ってきて確かめる子もいます。

 

 

「数字の砂文字板」です。

砂文字板を指先でなぞって、数字の形と書き方を感覚的に身体で記憶した後、実際に鉛筆を使って数字を書きます。

指先は1番感覚が鋭敏です。指先の腹で数字のざらざらした部分をなぞることで、身体が記憶します。

鉛筆を持つ前に、指先の感覚を洗練させることが大切です。

 

 

「紡錘棒箱- つむぼうばこ-(Spindle Box)」

5つの仕切りのある2つの箱があり、1つの箱は、0~4,もうひとつの箱は5~9の数字が書いてあります。

書いてある数字の数だけ棒を数えて、仕切りの中に入れていきます。9まで棒を数えて入れたら、最後は輪ゴムでまとめます。

数字は、ひとつひとつバラバラのものが集まった集合体を表すことを知ります。

そして、「0」は何もないということに気付き、0の概念を知ります。また、数字は、0~9までしかないことを確認します。

 

 

「数字と玉 (Number cards and counters)」

1~10までの切り抜き数字と55個の玉があります。

切り抜き数字を1~10まで並べ、その下に赤い玉を数字の数分並べていきます。

切り抜き数字は、裏も表も同じ色で、10は1と0が離れているので、数字をしっかり理解しているかどうかがわかります。

また、赤い玉は2列に並べていくので、奇数の玉は、中央に置きます。

それぞれの数は、分離した量が集まっているという認識をしっかりと定着させます。

紡錘棒箱- つむぼうばこ-(Spindle Box)を何度も活動した後に行います。

玉を2列に並べた後、指で、列と列の間を通します。

偶数は、絨毯の端まで指が通りますが、奇数は、中央にひとつ玉があるので、行きどまりで通りません。

1から順番に「通らない」

2「通る」

3「通らない」・・・・・と10まで順番に行います。

奇数と偶数を知ります。そして、割り切れる数と割り切れない数の気付きの準備になります。

 

 

「ビーズとカードによる四則計算 (Four arithmetic operations with Golden Beads and Number cards)」

金ビーズとカードを使って、たし算を感覚的に覚えます。

ここで、十進法を知ります。

この活動は、「銀行ごっこ」と呼んでいます。

子ども達がそれぞれのお盆に、1の位から1000の位までの数字の小さいカード持ってきます。

そして、銀行へ行き、カードの数字と同じ分量の金ビーズをお盆に入れてもらいます。

それぞれ銀行からもらってきたビーズを風呂敷に入れて合わせます。

風呂敷に入れたビーズを1の位、10の位、100の位、1000の位に分けて、数え、それぞれの分量と同じ数の大きいカードを持ってきて、合計の数をみんなで言い、大きな数になったことを印象付けます。

「たし算とは、いくつかの違う小さい数を合わせて大きい数にすることです。」

というたし算の概念を知ります。

この活動はとても楽しいので、みんな大好きです。

これは、かけ算です。

「かけ算とは、いくつかの同じ数を合わせて大きい数にすることです。」

かけ算の概念を知ります。

同じようにビーズとカードを使って、引き算、割り算もあります。

 

 

「切手あそび (Stamp Game)」

ビーズとカードを使って友達と一緒にたくさんグループ練習した後、ビーズの代わりに切手あそびの教具を使って、ひとりで行います。

この切手あそびの教具から、抽象化への始まりです。

切手の形、大きさは同じだけれども、表面に書いてある数字が、1、10、100、1000で、数量は数字で表され、抽象化されています。

切手遊びを始める前は、ビーズと切手は同等であることをしっかりと印象付けます。

グループ活動で行ってきたことを最初から最後までひとりで行うので、間違えれば自分の責任となり、よく理解できていなかったところが見えて来て、自分で再確認できます。

そして、四則計算の理解がさらに深まります。

 

 

「セガン板Ⅰ(Seguin Board I)」

    

セガン板Ⅰでは、11~19までの数字と数量をしっかりと定着させます。

数字は連続していることを知り、数を数えることが楽しくなります。

セガン板Ⅰの板は10と書かれている板に、1~9のカードを10の位のところにはめて、11~19を作ります。

そして、数字の横に10のビーズと1~9の色ビーズを使って、数量を合わせていきます。

数字が連続しているという印象付けとなります。

セガン板Ⅱは、10~90までの数字がプリントしてあります。

10から90までの10単位で数えた後、11~99までビーズと数字の板を使って数えていきます。

数字は連続しているということと、9まで行くと位が大きくなることを知ります。

11~99までの数字と数量の認識を定着させていきます。

 

 

「へびあそび (Snake Game)」

 

1~9の色ビーズ、10の金ビーズ、1~9の白黒ビーズを使います。

まずは、たし算から始めます。

ジグザクにビーズを置いていくので、へびのような形になるので「へびあそび」と言います。

1~9の色ビーズを適当にジグザクに置いて、左のビーズから数え、10になったら、10の金ビーズに取り換え、残りの部分には、同じ数の白黒ビーズを置き替えます。

色ビーズを使って10の構成を楽しみながら、たし算の組み合わせを覚えていきます。

次第に、たし算とかけ算は共通する部分があることを知ります。

 

最後は、最初に並べた色ビーズと取り換えた金ビーズ、白黒ビーズの合計が合っているか確かめます。

ぴったり合えば正解です。

 

 

「たし算の計算板 (Addition Strip Board)」

  

基本的なたし算の組み合わせを記憶していく活動です。

1~9までの2つの数のたし算は、18より大きくならないことを理解していきます。

1(青い定規)+1(赤い定規)=青い定規と赤い定規を並べてたし算をします。ボードの上に書かれてある数字が答えになります。

上記の写真は、3(青い定規)+1(赤い定規)= ボードの数字は4のところになので、答えは”4”です。

 

たし算板の応用編として、いろいろなたし算(数作り)も出来ます。

例えば、答えが”6”になるたし算を1から順番やったりなど。

また、答えが10になる構成や同じ数のたし算をやったりなどして、たし算の交換法則を理解していきます。

また、かけ算の仕組みにも導かれていきます。

 

 

「たし算の暗算板 (Addition Finger Chart)」

たし算の暗算板Ⅰをやっています。

81の組み合わせのたし算と答えの板です。

たし算が書かれているくじを引いて答えを出していきます。

青い数字の方(横)と赤い数字の方(縦)の合わさったところが答えです。

くじ引きを引くのが面白くて、夢中になってたし算を楽しみます。

繰り返し行うことで記憶に刻まれ、暗記していきます。

 

答えが書いてあるボードをたくさん取り組んだ後は、答えが書いていない 暗算板Ⅳ(Addition Blank Chart) に取り組みます。

答えがブランクになっているので、暗算しないといけません。

真剣です。

偶数+奇数は、答えが奇数になる。

偶数+偶数、奇数+奇数は、答えが偶数になる。

など、繰り返し行うことで、感覚的に記憶に刻まれ、暗記していきます。

そして、より進んだ数の活動へ導かれていきます。

 

ひき算の暗算板Ⅰ(Subtraction Finger Chart)です。

たし算の暗算板Ⅰと同じようにひき算を行います。

ひき算の組み合わせを記憶していきます。

 

 

「鉄製はめ込み分数 (Fraction Insets)」

分数の紹介です。

赤い円が10等分されています。

分数の概念と知識を得て、等価概念を知ります。

活動が進んでいくと、分数の四則計算を行います。

 

 

下記は、日常生活のお仕事になりますが、数学的要素がたっぷり含まれたお仕事です。

編み物は、数学的能力が必要です。

数学は編み物から学べるとも言われています。

数を数えながら、計算しながら、毛糸の色を変えたりして、綺麗な模様を作っていきますね。

計算や数を間違えたりすると、思っていたような模様が出来上がりません。

編み物が得意な人は、理数系に強いそうです。

 

 

折り紙も同じく数学的要素が多く含まれています。

折り紙は幾何学の原理の応用です。

様々な図形を見て、長さや角度を認識し、自然と計算して形を作っているのですね。

2等分、4等分、8等分にするとか、3等分にするとか、分数の計算も含まれています。

空間認識能力も必要ですね。

 

折り紙が得意な人も理数系に強いとよく言われますね。

 

子ども達の可能性はほんとに無限だな~と日々感じます。

みんな一生懸命、夢中になって取り組み、どんどんスキルアップして、成果を上げていくので、先生たちもモチベーションが上がって、お仕事の提供が楽しいです。

子ども達に提供することで、大人も一緒に学ぶことが出来ます。

実は、大人も子ども達から学びを得て、成長しているのですね。

これからもいろいろなお仕事を提供していき、子ども達と一緒に学びを楽しんでいきたいと思います。

 


下記は、昨年の投稿記事ですが、こちらからいらした方は、ぜひご覧くださいませ。

The Montessori method – お仕事の紹介 Vol.1 ~日常生活 Practical Life~>>>

The Montessori method – お仕事の紹介 Vol.2 ~感覚教育 Sensorial Area~>>>

The Montessori method – お仕事の紹介 Vol.3 ~言語教育 Language Area~>>>