「東北大学加齢医学研究所」では、小さな子どもから高齢者までの脳画像をデーターベース化し、認知症予防においてどのようなことをすれば脳の健康は維持されるかを研究しています。その結果、脳のどの領域でどのように発達し、どのような生活習慣が大事なのか分かってきました。脳は後ろから前に向かって発達し、脳の加齢は前から進むと言われ、生活習慣や認知機能等に関する情報を集め、脳の発達や加齢はどういうふうに起きるのか、生活習慣や親子関係がどのように影響するのかも調べています。
生後すぐは、ものを見る機能を担う頭の一番後ろにある「後頭葉」が発達し、同じ頃に音を聞く機能に関わる「側頭葉」、次に「頭頂葉」と発達します。ここには触覚をつかさどる「感覚野」や、体の動きをつかさどる「運動野」、最後に発達するのが「前頭葉」です。考えたり、判断したり、コミュニケーションを取ったりする「高次認知機能」を担っている「前頭前野」は、最後の最後に発達することが分かり、20歳くらいまで成長し続けるといわれています。
視覚や聴覚が発達する0歳児は、図鑑や絵本、音楽に触れさせ始めるのが適しており、「運動野」が発達のピークを迎える3~5歳児頃には、スポーツに加え、演奏するための指や手首等を細かく動かす必要があるため、音楽にも良い時期です。
幼い頃からその分野にたくさん触れることで、知的好奇心、興味関心が育ちやすい点は早期教育のメリットですが、気をつけなければならないのは、子どもに対して過度な期待をかけ、睡眠や親子の会話時間、身体を動かす時間が削られるのは、脳の発達に良いことではないため、十分な睡眠や、遊びの時間を維持することが成長には大切です。
子どもが将来、自分の力で幸せに生きて行けるよう「知的好奇心」を育み伸ばしてあげることが大切です。子どもの様子を良く観察し、子どもの成長速度や興味・関心に合わせてサポートすることで、子どもの「知的好奇心」を伸ばすことができます。
最後に『子どもも大人も好奇心を持つことで、いつまでも健康に自己実現していくことができ、毎日をより楽しむことができる。脳の画像はそのことを、私たちに教えてくれている。』と著者は述べています。
子どもは大人が楽しそうに行っていることは、「なに?なに?」「何だか面白そう!」と感じ、好奇心が刺激されます。モンテッソーリ活動も、教師が楽しそうにやっていると「わたしもやりたい」「ぼくもやるー」と言ってくることが多いです。子ども達の好奇心を育むような環境の大切さ、子どもの好きを応援してあげられる大人でありたいと感じました。
出典:「賢い子」に育てる究極のコツ
東北大学加齢医学研究所教授 瀧 靖之
モンテッソーリ教育スーパーバイザー / 初級モンテッソーリ発達支援士
フロンティアキッズ ミオテゾーロ 窪谷 麻理