柿やみかんが保育園のおやつに上るようになり、秋が来たなあ・・・と思わされます。秋の自然の中で気持ち良い散歩ができている各クラスの子どもたちです。
そんな気持ちの良い季節に毎日世間をにぎわしているニュ–スは「闇バイト」による強盗や強盗殺人などです。逮捕された人が画面に現れますが、その多くが20代の若者です。その若者たちは実行役で、指示役が陰に潜んでいるとのこと。なんだか殺伐とした世の中になってしまったなと思わずにはいられません。中でも、逮捕された若者たちの顔、みんなそれなりにいい顔をしていて、このような事件を起こすような顔の人ではないという点で驚かされています。その若者たちが画面に出るたびに、私はその人たちの赤ちゃんのときや子どもの頃のことを思ってしまいます。生まれたときは、この世に誕生したことが最高!のように大声で泣いて主張していたであろうに。子どもの頃にはお友達と一緒に遅くまではしゃいで遊んでいただろうに。家族でお出かけして笑いあったりして楽しい思い出を作っていただろうに。とそれまでの過程を想像してしまいます。きっかけは税金が払えなくなり、バイト感覚で始めたことが、全ての情報が握られそこから抜けられなくなり、実行役に関わったという若者がいました。そうなる前に何で他の方法を考えなかったのか!・・ということになってしまいますが、そこは今後の警察の捜査に任せるとして、人としての生き方について考えてみたいと思います。
読んでいた本の中にこのような一節がありました。
「人間という生き物はちょっと賢すぎるから、ついつい頭で損得ばかり考えて行動しちゃって、その結果、後悔することが多い。大切なのは頭じゃなくて、心に従って行動すること。そうしていれば物事がうまくいっても失敗しても後悔することはない。」
時にしつかり頭で考え、計画を立てそれに従って行動することが必要とされることがあります。世の中の動きは殆どそうしなければうまく回っていかないでしよう。保育活動でもその日1日を子ども達が楽しく過ごせるために ・・・と活動計画を立てます。しかし、こどもはそんな保育士のことなど考えません。それこそハチャメチャなことをやってくれるのが子どもです。しかし、そこが子どもの良さだと思います。
上記で記した言葉は「人間が持つ心を大切にしろ」ということではないかと私は考えます。「闇バイト」に関わった若者たちも仕方なく行なったことなのかもしれないけれど、そこに「心」の存在を見出していたらもう少し違ったのでよないでしようか?
こんな言葉も見つけました。
「目に見えるものを誰かと分け合えば自分の分は減ってしまう。でも、目に見えないもの―-例えばやさしさやしあわせは、誰かに分ければ分けるほど増えていき、しかも自分の分は減らない。いや、むしろ増えさえする。」
確かに「もの」は減っていきますが、心に存在するもので他人に有効なものは増えていきそうです。「損得しか考えない頭」でも「知識」は蓄えていきます。先日亡くなった西田敏行さんが「自分のことを先に考えるのでなく、相手を先に考える」と話していましたが、「(これをしたら)相手はどのように思うだろうか」と考え、行動していくことは人生を楽しくしていくためにはとても大事なことなのでしようね。そして蓄えた知識を悪に使うのではなくみんなが幸せになるために使い、生まれた幸せを他人に分けてあげる。そんな人生が送れると良いなあと思いました。
毎日、泣いたり笑ったりとても賑やかな子ども達ですが、他人にもその幸せな姿を分けてあげられる人に育ってほしいなと、近頃の事件を知り、強く思いました。
フロンティアキッズ上町
施設長 田原彰子