「次の次の次・・・・」

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「次の次の次・・・・」

2024年3月

♪1月いっぱいゆきよふれ  2月のにわにはふくじゅそう 
 3月さむさにさようなら    4月にしょうがく一年生♬

 

 「カレンダーマーチ」の一節ですが、年長さんの4人のお子さんはあと1か月したら、今までのリュックをランドセルに替え、「ピカピカの一年生」になりますね。待ち遠しい気持ちと不安な気持ちが入り混じっていることでしょう。毎朝元気に送り出してあげてください。

 

 先日電車の中で次のような光景に出会いました。初めは座席で目をつぶっていたので、どのような親子の会話なのかは知りませんでした。通勤電車なので、その親子が乗ってきた駅ではまだ空いていましたが、駅で止まるたびに客は増えてきました。お母さんが「お客さんが増えてくるからね。がんばって立っててね。」と言うと、子どもはそれに従い扉付近で騒ぐこともなく立っていたようです。端に座っていた客が、「替わりましょうか?」と言った言葉に「ありがとうございます。大丈夫です。」と応えたお母さんでした。

 

 さて、駅がいくつか過ぎたものの目的の終点駅には着きません。どうやら少し子どもは飽きてきたようです。「まだ?」の質問をする子ども。それに答えたお父さんが「次の次の次だよ。」すると、子どもは「つぎのつぎのつぎじゃわかんない!なんばんめっていって!!」その言葉に、ややむっとしたお父さんは「もう!」と。そんな会話の間に「次」の駅に着きましたが、また発車すると「まだなの?」の質問。「次の次だよ。」とお父さん。「だからわかんないっていったでしょ!」と子ども。今度はお母さんが、「2番目だよ。」 これで子どもの方は納得したようで「2番目?」と言っておとなしくなりました。降りてから先程の親子はどこかなと見てみると、その子は2歳児後半くらいの女の子でした。大きな旅行鞄をお父さんが引いていたところをみると家族でお出かけなんだなと思います。

 

 自分自身に置き換えても、多分自分も「次の次…」と言うような答え方をしたのではないかと思います。大人は「次の次」という抽象的な順番の理解はできますが、子どもは抽象的な言葉は理解できないのでしょう。「何番目か言って!」と言う子どもの言葉には、なるほどと気づかされるほどでした。子どもの行動や言葉の裏側にある思いを感じ取り、それに応えてあげることは、物言えない子どもにとっては重要なことです。この子は、数詞の理解が出来ていたので、「2番目」という事で納得していましたが、それもわからない子には何と答えたら良いのだろうと、そんなことまで考えてしまいました。モンテッソーリ教育では、数量の理解から入るので、「もの」を駅に見立てて数を減らしていく方法でしょうか。しかし、電車の中ではそれもかないませんしね。

 

 よく、私達大人は、子どもに注意を促すときに、説明した後に「わかった?」と言葉をかけがちですが、「4歳以上でないと理解はできないですよ」と研修で学びました。この言葉は、保育者もついつい使ってしまいますが、単に大人側の満足のためのものではないかと思います。子どもは何故その行動をとったのか、何故そう言ったのかと、その子の心の中を深くのぞき、子どもの思いをくみ取ってあげること、そして幼い子にはそれを言葉で「○○だったのね。」と代弁して(言葉に変えて)あげることが大事です。その繰り返しから子どもは”こういう時にはこういえばいいんだ″ “これはこういうことか″と学んでいきます。

 

 大人にとっては苦なことですが、子どもの成長には欠かせないことですね。

 これからも子どもの代弁者でありたいと考えさせられる出来事でした。
           

フロンティアキッズ上町 施設長 田原 彰子