Frontierkids Global school では、いろいろな植物をテラスやお部屋で育てています。
2021年度までの
”総合的な学習能力・感性を養う~植物科学の活動-Botany-Plant science Activities 2021”
をご報告致します。
植物にお水をあげることが、子ども達のお仕事(モンテッソーリ活動)のひとつです。
柄杓を使ってお水をあげています。
じょうろや水差し、ピッチャーも用意していますが、柄杓が子ども達には人気です。
手首の運動、バランス感覚の訓練にもなります。
昨年、2021年4月の様子ですが、テラスのプランターの花や春の草花を摘んで、
切り花をして花瓶に差し、お部屋に飾りました。
「花を生ける」(Flower arrangement)活動もモンテッソーリ教育のひとつにあります。
2021年4月の苺の葉っぱです。
この苺も、2020年5月頃、苺の周りの種を削って、土に埋めました。
そして、芽が出て来て、1年後は、大きな葉っぱがたくさんつきました。
下記は、2年前の苺の種です。
2020年5月25日に、苺の周りをカットして、プランターに埋めました。
約8週間後、7月17日、小さな苺の芽が出ていました。
それから1カ月後、8月16日、少し大きくなりました。
8月26日、夏は成長が早い感じがします。
種を埋めてから約17週、9月15日、大きな葉っぱになりました。
種を埋めて、1年後の2021年の春は、葉っぱばかりが大きく育って、花は咲きませんでした。
そこで、葉っぱをカットして、小さなポットに植え替えました。
2021年12月3日、真冬に苺の花が咲いていました。
しかし、やはり寒いので、実になりませんでした。
そして、年が明け、2022年になりました。
2022年3月16日、苺の花が咲いています。うまくいけば苺の実になりそうな感じです。
子ども達はこの様子をずっと観察しています。
2年前は、2~3歳だった子も、しっかり覚えています。
2022年3月28日、たくさん花が咲いて、花托(かたく Receptacle)
(中央の黄色い部分)が膨らんできました。
苺の場合は、花托が実になります。
子ども達も次々に順番に観察していました。
赤い苺になりますように…♡
手で苺の形を作ってお祈りしていました。
ついでに、アゲハ蝶の越冬蛹も観察。
まだ、冬眠中でした。
2年越しで、うまく苺になれば、実験大成功です。
結果は、2022年度へ持ち越しです。
次は、トマトとピーマンの実験です。
ピーマンについては、前回の記事、
「食育活動 2021~椎茸栽培と出前出張食育授業@べジリンク」
でご報告致しましたので、そちらをご覧ください。
2021年6月4日、トマトとピーマンの種をポットに埋め、どんな風に生長するか実験、観察しました。
霧吹きでお水を掛けました。
左側がピーマン、右側がトマトです。
2022年6月22日、トマトの芽がたくさん出ていました。
実は…
2021年6月6日、トマトの種蒔きの実験2日後になりますが…
この実験前には、既に別のトマトの木が大きく育っていました。
このトマトは、2021年に蒔いた種ではありません。
こちらは、2020年に栽培したトマトが冬になって枯れた後、
春が来て、自然と土から芽が出てきたのです。
2021年7月25日、
トマトの実が赤くなり、花もたくさん咲いていました。
このトマトは、2020年5月末頃、トマトの実から種を取り出し、プランターに埋めたものです。
一昨年の夏にたくさんトマトの実がなりました。
その一昨年のトマトの木の根っこ、
または、落ちたトマトの実がプランターに残って土の中で生きていて、
次の年の春、気が付くとたくさんのトマトの芽が出て来て、自然と大きく成長し、
2021年もトマトが自然と実りました。
プランターの土の中で冬を越して、また春に芽が出て来たのです。
その為、実験途中から、どれが、2021年に埋めたものか、
どれが、2020年のもので自然と土から出来てたのかが、分からなくなってしまいました。
しかし… この実験、観察のおかげで、
トマトのライフサイクルを通して、自然の生態系を学ぶ実体験となりました。
トマトは、子ども達が収穫し、お給食の食材に使いました。
2021年6月9日、サラダ菜を収穫しました。
実は、これは、2020年度の卒園児さんがお家から持ってきた種を冬にプランターに蒔きました。
それが、冬を越して、2021年の春に芽が出て、6月9日に収穫することが出来ました。
サラダ菜の素材そのままの味ですが、みんな、「美味しい!!」と感動して、もりもり食べていました。
普段の食事で、菜っ葉が苦手で食べない子も、「美味しい!!」と言って食べていました。
自分で育てて、収穫できたことで、達成感を味わいました。
自分たちで、綺麗に洗いました。
2021年5月14日、枝豆の種まきをしました。
枝豆の種は、”大豆”です。
6月6日、すくすく育っています。
そして…
2か月後…
2021年7月14日、枝豆を収穫しました。
たくさん収穫出来ました。
キッチンへ持っていき、茹でてもらいました。
2021年9月3日、豆苗を収穫しました。
8月中旬に水栽培を始め、
子ども達は、芽が出て生長する様子を毎日観察し、
約2週間たち、見事に収穫出来ました。
収穫した豆苗で、クッキングをしました。
昨年度は、Adventure(2歳児クラス)さんです。
一生懸命、はさみで豆苗を小さく切っています。
集中力もしっかり身についています。
Jr-Challenger(3歳児低月齢児クラス)さんです。
パン作りをして、その中に豆苗を入れました。
豆苗が入った”手作り豆苗パン”です。
見た目にはちょっとわかりにくいですね。
パンが出来上がると、みんな大喜び!!
大歓声でした。
「美味しい!!」ともりもり食べていました。
また、豆苗は、半分をお給食のスープに入れました。
みんなとてもよく食べていました。
またまた、達成感を味わいました。
このほかにもたくさん種蒔きをしました。
子ども達は、お家からどんどん種を持ってくるようになりました。
お家で食べたアボカドの種、ビワの種、サクランボの種、スイカの種、他にもいろいろ…
子ども達が持ってきた種は、自主的に、好きな時に、好きなところに、自由に蒔けるようにプランターを用意しておきました。
そして…
2021年6月6日、スイカが育っています。
7月25日、また、別のスイカの芽が出ています。
発芽したばかりの芽と数週間育った苗の葉っぱの違いを観察しました。
9月16日、小さなスイカが実っていました。
9月19日、小さなスイカを発見!!
9月21日、少し大きくなっていました。
とても小さくて可愛いです♡
小さなスイカに興味津々!
じっくり観察していました。
2021年9月27日、収穫しました。
次の日…
9月28日、試食会をしました。
赤くなってませんでした。
味も胡瓜みたいで、スイカの味はしませんでした。
それでも、子ども達は、「美味しい!!」と感動していました。
可愛かったです♡
一昨年の2020年の春にも、子ども達がスイカの種を蒔きました。
お家から持ってきたスイカの種を蒔いたり、
保育園のお給食で出たスイカの種を蒔いたりしていました。
そして、小さいスイカが実りました。
こちらは、2020年7月20日のスイカの花です。
2020年8月16日、スイカとみかんの芽、葉っぱの違いを比べながら観察しました。
2020年9月25日、小さいスイカが3つ実り、収穫!
スイカの中は、赤くなっていました。
おままごとのスイカみたいですね。
この時は、味見をしなかったので、残念。
また次回、今年度に、リベンジ!!
2022年度もきっと誰かがスイカの種を蒔くでしょう!
楽しみです♡
こちらは、モンテッソーリ教育の”葉の箪笥”というお仕事で、植物観察の為の感覚教具です。
様々な葉っぱの種類の名称を覚えたり、形をなぞってみたり、同じ形の本物の葉っぱを取ってきて、形を合わせることを楽しんだりします。
子ども達は、共通点や相違点を探すことが大好きです。
同じ形の葉っぱを発見しました!
子ども達が水をあげている植物は、キウイフルーツです。
このキウイも保育園のおやつで出たキウイを直接、土に埋めました。
実は、キウイの苦手な子が、食べられないキウイを土に埋めて実験しました。
しばらくすると、キウイの芽が出て来て、すくすく育ち、
若々しい綺麗な黄緑色の葉っぱが生き生きと育っています。
これは、アボカドです。
こちらも誰かがお家から持ってきて、埋めました。
2021年6月2日、女の子がお家で食べたビワの種をたくさん持ってきました。
それを、自主的に、お友達に分け合って、みんなで一緒に埋めていました。
優しい、思いやりの心が育っています。
とても珍しい種を持ってきたお友達がいました。
こちらは、何の種だかわかりますか?
綿、コットン(Cotton)です。
お休みの時に、山梨のコットン畑に行き、コットン摘みをしたそうです。
その時に摘んだ種をお友達に見せたくて持ってきてくれました。
感動や喜びを友達と分かち合いたかったのですね♡
植物は、本来、人間にとって、とても身近な存在です。
しかし、現代社会、特に都会に住む人々は、自然から遠ざかった生活に慣れてしまい、五感の発達が未熟になってきている傾向にあると懸念されております。
積極的に、自然に関わろうしないと感覚が鈍くなってしまうのです。
例えば、草木の揺れる音、虫の声、風の音を聞いて、何かを悟ったり、感じたり、空気の温度、雲の動き、空の様子を見て、視覚的に、肌の感覚的に、何かを感じたりできるのは、そこには、自然の中で生きている植物や生物がいる、生命が宿っている、その中で生活することにより感じることができるのだと思います。
人工的に作られたものには、生命を感じることができないので、五感を発達させることが出来ないのではないかと思います。
最近の子ども達は、テレビやインターネットのモニターの動画や画像から自然を知ることに慣れてしまい、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感を使う機会が少なくなり、感覚の発達も未熟になってきていると言われています。
味覚は、毎日食事しているからと言って、良好に発達するとは限りません。
人工甘味料や添加物の多い食事をしていると、味覚障害や健康被害を引き起こし、感覚を正常に発達させられません。
「植物が子どもの成長に与える影響」を研究したある大学の論文によると、
植物を教材として取り入れることで、総合的な学習の効果が期待できるとのことです。
他の文献も参考にしながら、下記にわかりやすくまとめてみました。
① 五感を養う。
植物は、季節による変化に富み、色の変化、感触、匂い、など、実体験でないと養うことができない五感を刺激し、発達させる要素を持っています。
② 感情を豊かにする。(情操教育)
植物は、毎日世話をする必要があるので、植物の生長を間近で見ることによって、生命の不思議に気づくことが出来ます。また、植物の花が咲いたり、実が実ったりした時に、喜びと感動を心に感じることが出来ます。
優しさや美しさを感じ、豊かな心を育みます。
植物を育て、植物に対する愛情が育まれ、枯らしてしまった悲しみ、花が咲いた喜びなどを経験し、生命について学びます。実をつけるにはどうしたらよいか、花を咲かせるにはどうしたらよいかを考えることで思考力も身に付きます。
成功すれば、「自分にも出来た」という達成感を味わえます。
③ 謙虚さや忍耐力を養う。
植物を育てるということはとても根気のいることです。成長して花を咲かせるまで、または実が実るまで「待つ」「努力する」ことで忍耐力が身に付きます。
自然界における人間の存在についても考えるようになり、自然への思いやり、尊敬、謙虚な心が養われます。
④ 体験と知識を結び付ける。
知識、知恵、技術などを植物を育てるという実体験から獲得できます。生育の観察をしながら対策を考え、自ら調べ得た知識を実践し、工夫するようになります。
実体験で獲得した知識は、教科書の本を読んで暗記して得た知識とは違い、日常生活で即活用可能な知識となり、そして、探求心や想像力も向上します。
⑤ 環境教育の基礎となる。
人間は、植物の恩恵を受けて生きています。栽培を通して、植物の役割や人間が生きてく為には植物がどれだけ必要な存在であるかに気付き、植物があるからこそ生きていけることを知り、自分の生活を見直すきっかけや環境教育の基礎となります。
⑥ 社会性を養う。(人間関係の構築)
植物栽培の過程では、常にうまくいくわけではなく、様々な問題が起きます。例えば、病気になったり、虫がついて植物が育たなかったりなど、そのような場面に出会ったとき、疑問や質問を家族の人や友達や、また同じ仲間と情報交換をして、人との関わり、繋がりを深め、地域社会との交流も出来るようになります。
大昔から、自分の畑で採れた野菜等を近所の人たちに分け与えたり、またもらったりして人々は地域と関わりながら生活しています。
都会に住んでいる人々にとっては、自宅に庭、畑がない人が多いと思うので、あまり馴染みはありませんが、郊外に住む人々は、今でも暮らしの中では普通に行われていることでしょう。
知り合いで、田舎に引っ越した人が、野菜、卵は、お店で買ったことがないと話していました。
また、人と植物の関係を通して、昆虫や動物の関係性にも繋がり、”生態系”を知ることもできます。
⑦ 植物から「生」と「死」(命の大切さ)を学ぶ
種を蒔いて、芽が出てきたときの「誕生」の喜び、枯れてしまったときの「死」の悲しみ、命の尊さや儚さ、生き物は皆、他の動物や植物の命を頂きながら生きている感謝の気持ちなどは、自然の中での実体験で学ぶことが出来ます。
植物を育てることで、命の大切さを実感することが出来ます。
学力、試験の点数の向上だけに目標が偏ってしまうと、実体験が希薄になり、将来的に必要な主体性、人間性が乏しくなってしまいます。
豊かな人格形成は、疑似体験、間接的な体験ばかりでは、十分とは言えません。
自然に目を向け、大地、大空、木々、昆虫、鳥のさえずりなど、地球の声を聞こうとすることで、感性が磨かれ、結果、総合的な学習能力が身に付くのではないでしょうか。
これから、数十年先の大人になった時のことを考え、今しかできない実体験の学びを大切にしながら、日々の保育、教育の向上を深めていきたいと思います。
“A child’s world is fresh and new and beautiful,
full of wonder and excitement.”
– Rachel Carson, “The Sense Of Wonder”.
「子どもたちの世界は、いつも生き生きと新鮮で美しく、
好奇心一杯で、驚きと感激にみちあふれています。」
上記は、アメリカの生物学者及び、作家であるレイチェル・カーソンの名言のひとつです。
Rachel Carson (レイチェル・カーソン Rachel Louise Carson、1907年5月27日 – 1964年4月14日)は、環境保護運動の最初の一歩を踏み出したパイオニアです。
現代の多くの環境活動家たちは、彼女の著書である「沈黙の春 ‘Silent Spring’」に影響されているそうです。
彼女の信念、活動功績がなければ、現在、地球の自然環境は、もっと破壊され、すでに終わっていたかもしれないとも言われています。
“It is not half so important to know as to feel.”
– Rachel Carson.
「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない。
勉強して知識を覚えることももちろん大事ですが、自分の感覚で感じることの方がもっと重要ということですね。
普段から、”感性を磨くこと” を意識した生活を心掛けていきましょう。
<引用>
- 植物教材の子どもの成長に与える影響(愛知教育大学生活科教育講座・大学院の研究発表)
- 植物を育てることが子供の心を育てる!優しい心を育む花育の方法と効果
- 「センス・オブ・ワンダーを授けて」──海洋学者レイチェル・カーソンが残した言葉。【世界を変えた現役シニアイノベーター】VOGUE