昨年、ある方のインタビュー記事にこんなことが書かれていました。「幼少期は、ホームセンターでボルトやナットを見るのが好きだった。父親に小さな電動ドライバーを買ってもらい、それで遊んでいた。」
埼玉に生まれた立崎乃衣さん。5歳になると半田ごてを使い、電子工作に夢中になります。9歳でロボット制作を始め、その後プログラミングを覚えます。「5年生のときにはエンジニアになる将来の夢が固まった。」とも語っています。
中学1年生のときには「これまでのように自己満足でなく、人の役に立つものづくりを」と人手不足の飲食店で食事を運ぶロボット「ペンちゃん」を製作。「SAKURA Tempesta」というチームに所属しロボットの設計を担当。アメリカで行われる中高生向けのロボットコンテストに参加し、6年連続の入賞を果たしました。
2020年4月にはFace Shield Japanという団体を設立し、自宅にあった3Dプリンターで制作したフェイスシールド約2200個を全国の医療機関に寄付。同年、高校1年生にして、Lenovoが選ぶ「世界を変える10人の女性」に日本人で唯一選出されました。現在は設立当初から関わっている株式会社Advance Labの代表取締役社長CEOとして活躍されています。
これだけの実績を残してきた彼女ですが、一体何が彼女をここまで突き動かしてきたのでしょうか。それは「情熱」であり、さらに元をたどればロボットが「好き」という気持ちなのではないでしょうか。
「好き」が人を突き動かす。「好き」だから夢中になる。
とは言え、乳幼児期の子どもは自分の「好き」を追い求めることに大人のサポートが必要不可欠です。子どもが自分一人で博物館へ行ったり、資料を買ったり…は当然まだできません。“サポート”と聞くと負担感を感じるかもしれませんが、そう難しく捉える必要ありません。一緒に図書館に行って「好き」に関係する絵本を読んでみたり、休日のお出かけ先を、こどもの「好き」に応じた場所にしてみたり…できる範囲のことをするだけです。(そうしているうちに親の方がのめり込んでいるなんてことも)
立崎乃衣さんの場合、冒頭の通り、父親が様々な工具を買い与えています。これは、お父さんが乃衣さんの「好き」に気付き、それに応じようと思ったことの現れだと思います。もしも子どもの「好き」に気付いたなら、私たち周りの大人が、その「好き」をサポートしてあげたいですね。
フロンティアキッズ新宿
施設長 石田 拓也