子どもを“受け止める”ということ

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子どもを“受け止める”ということ

 数年前、とあるクラスの保護者会で、イヤイヤ期について話題になりました。「子どもの思いを受け止めて…」「子どもに寄り添って…」なんて話をしていると、とある保護者の方から「“受け止める”って具体的にどういうことですか?」と聞かれて少し言葉に詰まったことを思い出します。“受け止める”にはいくつか種類があります。

 

①「子どもの気持ちに”共感”を示す。」

 転んで泣いている子に対して「痛かったね~」と声をかけたり、自分で靴を履けて笑顔になった子に対して「自分でできて嬉しいね」と一緒に喜んだり、そういった関わりが、この”共感”に当たります。共感により、子どもは自分の思いを共有できたと感じ、嬉しい気持ちになったり、安心したりできます。

 

②「子どもの言葉を”反復”する」

 公園から「帰りたくない!」と泣いて聞かない子に対し、「帰りたくないね」と子どもの発言を”反復”しながら「でも今はね…」と説明してあげると、親としての要求は伝えつつも、子どもの気持ちに理解を示すことができます。それで子どもの気持ちが収まるとは限りませんが、「自分の気持ちは伝わった」と感じられるでしょう。

 

③「子どもの気持ちを”代弁”する」

 食事中、口元にスプーンを近づけたところ、プイッと顔をそむけられたので、「今は食べたくない?」「これは嫌だったね」と子どもの気持ちを推測して”代弁”します。まだ話せない乳幼児だけでなく、すでに会話の成り立つ幼児期以降でも有効です。なぜなら、子どもの語彙力では自分の気持ちを十分に、かつ正確に言語化することは難しいためです。大人でも難しいですよね。代弁することを通して「あなたの気持ちを知ろうとしているよ」という姿勢を示すことができます。

 

 当時の私はこの共感・反復・代弁の話を質問の回答としてお話ししました。しかし、これらは受け止めるための“手段”であり、”受け止める”という言葉そのものの意味ではないことに気が付きました。

 

 では育児本や保育士との面談等でよく出てくる、この「受け止める」という言葉はどういった意味なのでしょうか。私は「受け止める」とは「認める」ということだと思います。子どもの今を認める。ありのままの姿を認める。

「イヤイヤ言ってもいいんだよ」「泣いちゃうことがあってもいいんだよ」「あなたが嬉しいと私も嬉しいよ」子どものことを“認める”ことで、親子の気持ちが通じ合う体験を積み重ねていけると、親も子も自己肯定感が高まっていきそうですね。

          

 フロンティアキッズ新宿

施設長 石田拓也