12月、師走を迎えました。今年も残すところ1か月です。
保護者の皆さまの子育てに、私どもの活動が少しでもお役に立てていれば幸いです。
マリア・モンテッソーリ(1870~1952)に『こどもの秘密』という題名の著書があります。
この中でモンテッソーリは次のような内容のことを述べています。「子ども達がこれから育っていく過程には、現在の学問では研究されていない未知なものが存在します。ですから大人は現在の価値観だけで子どもを判断してはいけません。」
モンテッソーリ教育は「科学的」だと言われます。それは、モンテッソーリがイタリア初の女性医者であったことから、教育者になった後も科学的な実証、合理性などを重んじたことに一つはあります。ただそれだけではありません。
モンテッソーリ教育で唱えられた子どもの発達に関する考察には、モンテッソーリの生きた時代には未だ解明されていなかった科学や新しい技術によって現在、検証されていったものが数多くあります。
例えば、モンテッソーリは胎児期にも子どもの『自己教育力』(自分で学習する能力)があると言っています。これは胎児期の子どもの様子を観察できる画像技術の発達により、赤ちゃんの「指しゃぶり」という、生誕後の母乳を吸う練習(吸啜運動)がすでに胎児期に起きていることから検証されています。その他にも、胎児期にお母さんの体液を通じ、呼吸をする能力や、もの(ミルク)を飲み込む能力を学習していることが確認されています。
また、最近の脳科学の進歩により、脳の発達が0歳~3歳児までに爆発的に進展していることがわかりました。大人の脳は1200~1500グラムですが、生まれたばかりの赤ちゃんは、およそ300グラムです。この脳が3歳までに約1000グラムと大人に遜色ないまでに発達を遂げます。この脳の成長は子どもたちの脳の脳細胞同士の結合(シナプス)によって進むのです。これはモンテッソーリの言う子どもの発達における『敏感期』(ある運動や活動が集中現象によって劇的に進む時期)に大きく関わっていると考えられています。子どもたちは、ある時には大人が一見無意味と思える活動も通じ、脳の発達を確実に遂げているのです。
このような子どもの未知の世界について、モンテッソーリは、こう言っています。「大人はあくまで子どもの『周辺』に仕える存在であり、大人は子どもの『中心』に押し入ってはいけない。中心は子どもの『秘密領域』である」私たち保育士も、日々成長していく子どもたちに愛情をフルに注ぎながらも、子どもの人格に敬意をいだき、「こどもの秘密」(未知の可能性)の尊重を忘れないように活動していきたいと思います。
夏目坂分園 0歳児担任 小須田祐二