2023年9月
毎日暑い日々が続いた先月でしたが、9月末頃には少しは涼しくなると良いですね。
先月は、ニュースの中で「戦後78年」という言葉をよく耳にしました。終戦時期に生まれた人は78歳なんだなぁ…と思いながら聞いていました。そして、同時に「平和」のありがたさを思わされましたが、「平和」は、「平成」の平と「令和」の和かぁ~なんて考えながら、過日、郷里で両親が遺していったものの片付けをした時の事を思い出しました。桐だんすの引き出しに敷いてあった新聞にびっくりしました。なんと、昭和17年の新聞だったのです。一面の左隅には、「○○島に攻め入る日本軍」というような見出しといくつもの戦闘機らしい姿の写真が載っていました。また、中面には婦人部隊が国の守りの一端を担っているような記事、そして下段掲載の食品広告には、それを食すると力(戦う力のような)がつくというような文言が印刷されていました。戦争を知らない今の時代に生きる私は、なんと馬鹿なことで意気揚々としていたんだろうと、半ば呆れてしまうような思いを抱きました。当時では「非国民」と言われ、罰せられたことでしょう。
しかし、未だ、世界のあちこちでは戦争や紛争が繰り返されているのが現状です。
モンテッソーリ教育は、「平和教育」と言われます。「子どもの使命は、幸せな大人になること」で、私達大人は子どもがそうなれるよう援助してあげるのが使命です。
読んでいる書物の中に、こんな件がありました。戦闘に苦しんでいる国の子が日本のジャーナリストに、現代日本のことについて聞きます。
「日本はどんな国?」
「そうだなあ、何でも揃っていて豊かで平和かな。」
「だったら、みんな幸せなの?」
「幸せかどうかはわからないな。何でもあるけど閉塞感を―ー息苦しさを感じている国民も多いんじゃないかな。」
この件を読んで、ハッと考えさせられました。確かにお金さえ出せば、何でも手に入る。教育も受けられるし、仕事も働く意欲さえあればできる。しかし、それで完全に平和といえるのだろうか・・・・。平和って何? 学校でのいじめ、大人社会でのパワハラ、実際手を下さなくても言葉での暴力等々、平和を壊していくものはありとあらゆるところに潜んでいます。子どもの保育という仕事についている私達にはここをしっかり見て把握し、手立てをしていくことが私達に課せられている使命なのだと思います。乳児期からの「人と人とのかかわり」「人への基本的信頼」を作ることがモンテッソーリ教育でいう「幸せな大人になる」ことにつながるのだと思います。
友達同士でファミレスに入ってお互いにスマホをいじっている若者を見ます。便利のものなので、なくすことはできませんが、スマホの画面から離れて会話してみては・・・と思って見てしまいます。人と人のかかわりが希薄になっていくことで、相手の気持ちが読めなくなっていく。相手を思いやる気持ちが薄れていく。「何でもあるけど、息苦しさを感じる」ということがわかるような気がします。
園の子どもたちを見ているとほんとに無邪気で子どもらしく可愛いです。できれば大きくなって欲しくない。純粋でけがれのない今の子どもたちのままであった欲しいと思ってしまいます。子ども達の成長を見るのはうれしいけれど、いましばらくはこのままでいて欲しいと思ってしまいます。しかし、そうもいかないし、私達には幸せな大人に育てていく義務がありますので、純粋な気持ち、人を思いやる気持ちを持った子に育っていくよう援助していきたいと思います。
フロンティアキッズ上町 施設長 田原 彰子