今年もアゲハ蝶のライフサイクル観察が始まっています。
4月末から5月のゴールデンウィーク明けくらいに、みかんの木にたくさんのアゲハ蝶の卵と1~2齢幼虫がいるのを発見し、皆とても研究熱心に観察しています。
1~2齢幼虫がみかんの芽にたくさんついています。
この小さい芽は、昨年子ども達が埋めたみかんの種から出てきたものです。
食べたみかん、グレープフルーツ等の種を土に埋めて芽が出て来ました。
幼虫がむしゃむしゃ葉っぱを食べている様子を見ながら、「食べてる!食べてる!」と、大興奮!
夢中になって観察しています。
実は、保育園がゴールデンウィークでお休みの間に1度、テラスの植物の世話をしに来た時、偶然アゲハ蝶が飛んできて、みかんの木に卵を産み付けて行きました。
卵です。
幼虫が何匹いるか数えています。
そして、
5月17日(月)
ぷくぷくふとっちょになった5齢幼虫のあおむしを数匹発見!
そろそろ蛹になる準備態勢になりそうです。
「みせて!みせて!」とみんなで順番に見ています。
なるべく、天敵に狙われないように、また、新しい卵を産み付けられないように、ネットを貼りました。
蝶が同じ木にどんどん卵を産み付けてしまうと、餌の葉っぱがなくなってしまうからです。
完全に覆ってはいないので、隙間からスズメが入ってくることができてしまいますが、もうしばらく自然に任せてみます。
運命です。
先日孵化したカマキリも数匹一緒にネットの中にいます。一緒に観察しています。
5月19日(水)
今年初、無事に1匹、前蛹 (Prepupa)になりました。
ネットにぶら下がっています。
この子は、ここで蛹になることに決めてくれたようです。
蛹になる準備態勢を「前蛹」と言います。
この前蛹の時期が大切です。この時期はとても繊細なので、ここで衝撃があると蛹になれず死んでしまいます。静かにそっとしておいてあげることが必要です。
ぷくぷくふとっちょになったあおむしは、「そろそろ蛹になりそうだな~」と思っていると、突然姿を消してしまいます。
天敵の鳥に食べられてしまうだけではなく、自ら旅に出る習性もあるようです。
調べてみると、蛹になる準備が出来ると、身体の中の老廃物を全部出しきります。下痢のような糞をします。それまでの糞は、ころころ小さい丸い固形です。
下痢をしたら、もう食べません。蛹になるという合図です。
そうすると、蛹になる場所を探しに旅に出ます。今まで食べていたみかんの木からまったく違うところへ行くことが多いです。けっこう遠くまで行きます。足もわりと速いです。あっという間にどこかへ行ってしまいます。
その間に、天敵に見つかって食べられてしまうこともあると思います。
昨年の秋の終わり頃、テラスの植木鉢やプランターの掃除をしていると、植木鉢の裏側に蛹の抜け殻が見つかりました。
「こんなところで、いつの間にか蝶になって飛んで行ってたんだ!」と思いました。
突然消えたあおむしもうまく逃げ延びて、蝶になって飛び立った子が何匹かいたのかなと嬉しくなりました。
今年も、けっこうな数の幼虫がいましたが、5齢幼虫になり、ぷくぷく太ってそろそろ蛹になるかなと思っていると、いつの間にかに姿を消しています。
スズメに食べられてしまったかな?
または、旅に出たのかな?
うまくサバイバルして生延びていることを願っています。
しかし、運よく、
この子だけ、ここ、実家で蛹になる決心をしてくれました。
前蛹(Prepupa) のお腹側です。
2日間、前蛹のままでした。
そして、
21日の朝、無事に蛹になっていました。
子ども達もみんな興味津々。どんな蝶が出てくるかな?
期待に胸を膨らませ、わくわくしているようです。
「せんせい!さなぎになったよ!もうすぐちょうちょになるよ!」と両手を広げ指先をパタパタさせて、全身で喜びを伝えてくれました。
昨年のアゲハ蝶の観察で撮った写真を使って、オリジナルの”アゲハ蝶のライフサイクル”の絵カードを作りました。
写真は全て、昨年、保育園で育ったあおむしたちです。
小さい子もこれがこの蝶になるの!?という感じで、絵カードの蝶とテラスのあおむしを見比べています。
↑日本語ヴァージョン。
↑英語ヴァージョン。
「たまごとチョウ、どちらが最初だろうね?」と聞くと、
ほとんどの子は「たまご」と言いました。
「でも、たまごはチョウから生まれるよ。チョウがたまごを産まないといけないよ。」と言うと、
卵の写真と蝶の写真を見ながら、みんな考え込んでしまいました。
お友達と仲良くお話ししながらじっくり観察しています。
蝶のライフサイクルの塗り絵も用意しています。
たまご、幼虫、蛹、蝶の4段階の色塗りがあります。
あおむし(幼虫)の絵を色塗りする時、何人かの子が幼虫の絵を真っ黒に塗りつぶしていました。最初は、”黒が好きなのかな”と思っていたのですが、よくよく考えてみると、1~4齢幼虫までは、身体の色は”黒”です。
とてもよく観察して色塗りをしていることがわかりました。
蝶のライフサイクルを知らないと、この発見は出来なかったかも…見逃していたかもしれないと思いました。
こちらは5齢幼虫をイメージして塗ったのですね。
ライフサイクルの写真を自分で切って、画用紙に貼って自分専用の本も作れるように用意しました。
早速、Pioneer(4歳児クラス)さんのふたりが仕上げました。
29日(土)の Saturday school の開始前までは、ふとっちょになったはらぺこあおむしが2匹、健在しておりましたが、終了後、様子を見ると1匹行方不明になっていました。
そして、その後、もう1匹も・・・とってもショッキングなことに…
実は、この瞬間の犯行現場を目撃してしまいました。
犯人は、やっぱりスズメでした。ネットの下の狭い隙間からぴょんっと入って、ぷくぷくふとっちょのあおむしをくわえて飛んでいきました。そのあと、仲間のスズメとつつき合ってシェアして食べていました。
スズメも食べないと生きて行けないし、生存競争なので、仕方ないですね。
とは、言っても、せっかく愛情込めて育てたあおむしたちがどんどん鳥の餌になるのも悲しいので、この後は、ネットの隙間を埋めて完全に保護しました。
室内に入れると、みかんの木が育たずに枯れてしまうので、テラスに置いたままネットでの保護です。
しかし、ほんとに”生きる力”の知恵というか、鳥たち、賢いですね。あおむしがもうこれ以上大きくならない蛹の準備に入った途端に、「さあ!出来上がり!」とでも言うように、ぱくっと食べに来るんですね。全ての老廃物を下痢で出しきった栄養満点の状態をいっきにめがけて食べにくる。下痢した後は、もう食べないので、今がMAXなのですよね。
食循環は偉大です。
そして、生態系の仕組みも感じ取れますね。
あんなにたくさんの卵から小さい幼虫が孵化したけれど、最後、蛹になるまでにほとんどの幼虫が食べられてしまったのです。
自然に蛹になれたのは、たったの1匹。
運命ですね。
アゲハ蝶に出会ったら、「よく頑張って蝶になったね!」と声をかけて褒めてあげたいです。
現在、ネットの中には、蛹1匹と2齢幼虫くらいのが2匹います。
こちらは蛹です。
こちらは2~3齢幼虫くらいです。
どこにいるかわかりますか?
土や鳥の糞にカモフラージュしています。
こちらは2齢幼虫くらいです。
蛹の期間は、今の季節では10~12日なので、5月31日~6月3日くらいに羽化するかもしれません。
幼虫の期間は、だいたい4~5週間なので、2~3齢幼虫たちが蛹から蝶になるのは、6月中旬~下旬かもしれません。
柄杓で植物にお水をあげています。
お水をあげている植物は、白い植木鉢がリンゴ、茶色の植木鉢がキウイ、緑のプランターはトマトです。
すくすく大きくなっています。
このリンゴ、キウイ、トマトは、昨年子ども達が埋めた種から育ったものです。
リンゴは食べた後、種を捨てずに埋めたもの。キウイもトマトも種の部分を取って土に埋めました。
トマトは冬に全部枯れましたが、春に土の中から新しい芽が出て来ました。
りんごとキウイは、冬越しして生き生き育っています。
リンゴ、キウイはこの後どうなるでしょう? 実が付くには何年もかかりますね~
またまた大発見!!
「みてみて!!」と大興奮の叫び声。
カマキリの脱皮の瞬間を発見しました!!
蝶の観察や植物のお世話をしながら、子ども達はたくさんいろいろな発見をしています。
枯れた小松菜や春菊の種を発見して、形を観察したり、アブラムシを食べている蟻の動きを観察したり…
大都会の中でも、大切な自然の学びがたくさんできますね。
約2週間前ですが、野菜の種を蒔きました。
植物によって、種の形、大きさ、色、がこんなに違うのですね。
バジルも絹さやもそれぞれに特徴があり、個性があり、それぞれの育ちがあり、そして、成長して実に成るとそれぞれの味があり、役割があり、私たちの食事に貢献しているのです。
ひとりひとりみんな違って当たり前。違うからそれぞれの役割があって、その歯車が嚙み合って、社会がうまく回っていく。
好きなもの嫌いなものも違うし、考えることも違う。
みんな同じでなくてよい。
そういうオープンな感覚もこのような自然体験から自然と学んでくれるといいなと思います。
数日後に、枝豆の種も蒔きました。
今年も、バジルパン、枝豆パン、ピザ作り開始です!
まずは食材作り!!
大都会の中の小さなテラス菜園ですが、自然の中でしか学べない体験型学習をこれからももっといろいろと工夫していきたいと思っています。
子ども達が自主的に活動し、不思議を発見、探求、研究して、知識を学び、身に着けていけるような学習方法のアイデアを試行錯誤しながら、取り組んでいます。
※今年度、第1号アゲハ蝶の羽化成功!!>>> こちらもどうぞご覧ください。
※こちらからいらした方は、ぜひ昨年の記録 → ①アゲハチョウの卵を発見!幼虫観察開始!! もご覧ください。